更新日:2022年03月17日
ここ数年で見聞きすることが増えた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
2021年09月01日には、DXを推進し、デジタル時代の官民のインフラを作り上げることを目的として、デジタル庁も発足しました。
注目を集めているDXですが、一方でDXというキーワードだけが独り歩きしてしまっているのではないでしょうか?
そこでこの記事では、DXの認知度・理解度や、日本での取組状況、自社の成熟レベルの測定方法の考え方などを解説していきたいと思います。
デジタルトランスフォーメーション、Digital Transformation、DX(ディーエックス)
DXとは「企業がIT技術を利用して事業や業務を変革させ、競争優位性を確立すること」です。
経済産業省のDX推進ガイドラインでは下記のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
DXと類似する言葉にデジタル化という言葉がありますが、DXは「競争上の優位性を確立する」という目的に主眼がおかれています。
例えば、店舗の業務効率化を目的として電子決済を導入するのは単なるデジタル化と考えられます。
デジタル化の対応に加えて、来店前にスマホで決済をおこない店舗でスムーズに商品を受け取ることができるスキームを構築するなど、ユーザーの利便性向上やオンラインチャネルの活用といった「変革による競争力の強化」まで推進し、取り組むことでやっとDX化をしたと言えるのではないでしょうか
先ほど見聞きすることが増えたと言いましたが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一般男女の認知度・理解度はどれくらいなのでしょうか?
20代〜50代の一般男女を対象にニベル独自の「IT・デジタル用語の理解度に関する調査」を実施いたしました。
調査概要 ・調査対象:全国の一般男女・20代〜50代 ・調査手法:インターネットによるアンケート調査 ・回答者数:100名 ・実施期間:2021年9月28日〜29日 ※「聞いたことがある」割合とは、「聞いたことがあり、意味を説明することができる」または「聞いたことがあり、なんとなく意味がわかる」「聞いたことはあるが、意味はよくわからない」と回答した人の合計 ※「意味がわかる」割合とは、「聞いたことがあり、意味を説明することができる」または「聞いたことがあり、なんとなく意味がわかる」と回答した人の合計
「DX」の認知度・理解度
「DX」を「聞いたことがある」と回答したのは60%で、「意味がわかる」と回答したのは37%でした。
「DX」の認知度・理解度(性年代別)
「DX」を「聞いたことがある」と回答したのは全体の60%でした。
「聞いたことがある」の割合が1番高い年代・性別は40代男性で、85%でした。
DXを含めた、IT・デジタル用語の理解度をチェックできるクイズです。
もし「私のIT/デジタル用語の理解度はどれくらいだろう?」と思ったらぜひチャレンジしてみてください。
用語の解説をまとめた記事もあります。
DXへの取組状況
一言まとめ:日本と米国で、DXの取組状況に大きな差がついている
【DXに取り組んでいる企業】
・日本:約56%
・米国:約79%
【DXに取り組んでいない企業】
・日本:33.9%
・米国:14.1%
外部環境変化への機会としての認識
一言まとめ:日本企業は外部環境変化へのアンテナを高くしていくことが望まれる
・「非常に強い影響がある」という選択肢に対して、すべての項目で日本企業よりも米国企業が高い回答が得られた
・日本企業は、外部環境変化を事業機会と捉えてDXを推進していく必要がある
デジタイゼーションへの取組と成果
一言まとめ:米国企業と比較して、デジタイゼーションで十分な成果が出ている日本企業が少ない
・デジタイゼーションとは、業務効率化やコスト削減を図ることを目的に、アナログ・物理データをデジタルデータ化すること(ペーパーレス化や、Web会議など)
・日本企業は米国企業と比べてデジタイゼーションの実施成果で大きな差がついている ・デジタイゼーションで十分な成果が出ている日本企業は17%と少ない
・ペーパーレス化の推進などから着実な対応を進めることが望まれる
出典:「DX白書2021」(独立行政法人情報処理推進機構) 上記URLを元に作成
米国企業と比べて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組状況に大きな差がでている日本企業ですが、ビジネスモデルや経営そのものの変革にチャレンジし、注目を集めている企業も多くあります。
例えば経済産業省では、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定しています。 「DX銘柄2021」や「DX注目企業」に選定された企業について、いくつか具体的な取り組みを抜粋し、事例を紹介していきたいと思います。
まずはじめは、SREホールディングス株式会社の事例です。
銘柄選定企業の中からデジタル時代を先導する企業をさらに2社選定した「DXグランプリ2021」に選ばれました。
同社のスローガンは「A DECADE AHEAD─今の先鋭が10年後の当たり前を造る─」。
DXに関する取り組みとして、「1.自社不動産事業のスマート化」と「2.SaaSプロダクトの外部提供」をあげています。
1.自社不動産事業のスマート化 先端技術を活用したスマート化ツールをアジャイル開発。積極的に試験導入を行い、生産性向上を実現しているようです。
2.SaaSプロダクトの外部提供 自社のスマート化の過程で磨かれたAIソリューションツールを業界各社に提供をおこなっています。
自社はもちろん、業界全体のDX化に取り組んでいる点などが評価されたのでしょうか。
次に、「DX銘柄2021」に選ばれた凸版印刷株式会社の事例です。
同社は中期経営計画における企業の目指す姿に「Digital & Sustainable Transformation」というキーコンセプトを掲げています。
2020年度には全社横断型のDX推進組織である「DXデザイン事業部」を新設。
さらに「デジタルプリントソリューション」や「トッパンセキュアアクティベートサービス」など、多種多様な業界にDX推進サービスを開発・提供することで、社会や企業のデジタル変革を支援しています。
例えばデジタルプリントであれば、版無しでデータからそのまま出力する印刷方法により、製版コストの削減や小ロット印刷が可能となり、「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」生産することが実現できます。
企業の目指す姿にあった、サービス提供に実直に取り組まれているのがわかります。
最後に、「DX銘柄2021」に選ばれた株式会社ブリヂストンの事例です。
ブリヂストングループは「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンを掲げています。
「DX銘柄2021」選定にあたって評価された具体的な取り組みは2つあり、「1. 高度設計シミュレーションを活用した「Bridgestone MASTERCORE」開発」と「2.DXを促進するための組織体質変革」です。
「2.DXを促進するための組織体質変革」については下記の通りです。
・DXとソリューション事業戦略を担うBridgestone T&DPaaS戦略部門を経営トップの直轄組織として設置
・日本、米国、欧州に有するイノベーション拠点の連携を強化 ・ビジネスの現場を熟知した人財と、デジタル・データサイエンススキルを有する人財から成るDX推進体制を構築
・データサイエンティスト育成研修制度を開設するなど、社内のデジタル人財育成を推進
・高度デジタル人財人数(グローバル): 2021年5月時点 約900人、2023年目標 約1200人
高度デジタル人材の具体的な目標数も公表しており、DXの加速に本気で取り組まれているのがわかります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の一般男女の認知度・理解度や、日本の取組情報を解説してきましたが、「自分の会社のDXの成熟度はどれくらいなのだろう?」というところが気になってくると思います。
DXの成熟レベルを測る手段として、経済産業省がガイダンスしている「DX推進指標」を利用することがおすすめです。
「DX推進指標」とは、DX推進状況の自己診断ツールです。
自分の会社の現状や解決するべき課題について、自部門だけでなく経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門など関係者で認識し議論をしましょう。
認識を関係者で共有することで、アクションつなげることができます。
またDXの取組を進捗管理するために利用することが想定されており、1回だけではなく毎年自己診断をおこなって、計画したアクションの達成度を継続的に評価することが推奨されています。
この項目では「DX推進指標」の、成熟レベルの基本的な考え(定性指標、定量指標)を解説していきたいと思います。
「DX推進指標」の定性指標においては、DX推進の成熟度を6段階で評価をします。
「DX推進指標」は日本企業の国際競争力を高め、デジタル企業への変革を促すことを目的としているため、最終的なゴール(レベル5)は「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」となっています。
自分の会社が現在どのレベルにいて、次にどのレベルを目指すべきなのかを認識して、次のレベルに向けて具体的なアクションにつなげることが期待されています。
DX推進指標の構成
成熟度レベルの基本的な考え方
DXの取組自体の進捗状況を共通的な定量指標で示すことは困難です。
DXの目的は競争力強化であり、DXによって経営がどのように変わったか、競争力強化が実現できているかを定量的に表す指標としては、通常の経営指標を活用することが有効と言われています。
それぞれの企業がデジタルビジネスやデジタルサービス・デジタルカスタマーなどを自ら定義していきましょう。 その上で、数年後の目標を設定した上で、進捗管理をおこなっていく必要があります。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、各企業の自己診断結果を収集・分析することを目的に「DX推進指標自己診断結果入力サイト」を公開しています。
自己診断をおこなってみたい場合は、ぜひ活用してみてください。
出典「「DX推進指標」とそのガイダンス」令和元年 7月(経済産業省)上記URLを元に作成 出典「DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)」(独立行政法人情報処理推進機構) 上記URLを元に作成
企業変革を推進するリーダーにあるべき資質にはどんなものがあるのでしょうか?
日本企業、米国企業それぞれに尋ねた結果を見ていきましょう。
企業革新を推進するためのリーダーのマインドおよびスキル(複数回答、「その他」非掲載)
DX推進を牽引する上でリーダーに求める資質に、日米で差が出ています。
米国企業は顧客や業績などの成果評価と関連性の高い項目を重視。
それに対して日本企業ではリーダーシップや実行力といった個人の能力を重視しているように見えます。
【日本企業のTOP3】
「リーダーシップ」や「実行力」といった個人の能力を重視
・リーダーシップ:50.6%
・実行力:48.9%
・コミュニケーション能力:43.8%
【米国企業のTOP3】
「顧客志向」や「業績志向」などの成果評価と関連する項目を重視
・顧客志向:49.3%
・業績志向:40.9%
・変化志向:32%
社員の学びの方針(学び直し)
AI、IoT、データサイエンスなどの先端技術領域に関する社員の学び直しの方針を尋ねた結果 社員の学びの方針(学び直し) 日本企業と米国企業で学び直しの方針の有無の差が大きいことがわかる。
日本企業は、まずは社員の学び直しの検討に着手するとことからはじめる必要があります。
DX推進のためには、例えば事業部門においては、事業ニーズを把握している人材が、データやデジタル技術を活用して顧客中心の視点からどのような価値を生み出せるかアイデアを出し、その実現性を素早く検証できるようになることが重要とされています。
そのような人材の育成・確保を行うための自社方針を定め、できれば全社員対象でのプログラムや会社選抜による学び直しのプログラムに取り組んでいくことが望まれます。
【日本企業】
・全社員対象での実施:7.9%
・会社選抜による特定社員向けの実施:16.1%
・実施していないし検討もしていない:46.9%
【米国企業】
・全社員対象での実施:37.4%
・会社選抜による特定社員向けの実施:34.7%
・実施していないし検討もしていない:9.8%
Web制作を取り巻く課題として下記のような項目があげられます。
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